主人公『伊藤 誠(いとうまこと)』が、隣のクラスの『桂 言葉(かつら ことのは)』を見つけたのは2学期の始めだった。
彼女は、同じ沿線から通っていて、いつも同じ時刻の電車に乗り、本を読む。
それに気が付いてから、誠は、単調な毎日の通学が少しだけ楽しみになった。
ある日、隣の席になった『西園寺 世界(さいおんじ せかい)』に待ち受け画面に映った言葉の写真を見られ、察しのいい彼女は誠の密かな想いを知る事になる。
「伊藤ってさぁ、四組の桂のこと好きでしょ」
誰にも言わないと約束させるかたわら、世界に応援されることになった誠。
毎日三人で屋上での昼食の時間を過ごしていく中、次第に二人の距離は近づいていく。
夕焼けのホームで、初めてデートに誘った言葉を待つ誠。
そこに、学校帰りの世界がやってくる。
順調に進んだ作戦、誠は世界に感謝しなんでもお礼をすると約束した。
「このカリは返すからさ」
「いいよ」
「いや、絶対にかえす」
「・・・じゃあ」
「ゆっくり考えてろよ。もう電車が・・・」
「これでいいや」
呆然としたままホームで立ちすくむ誠。
「デート。がんばれー」
電車の中、世界の瞳からはとめどなく涙が零れ落ちる。
そして委員会が終わり、嬉しそうな表情で駅へと急ぐ言葉。
ここから三人の物語が始まる・・・